上越エリアのフリーマガジン「あどば」|新潟県上越エリアの求人情報・地域情報|転職・就職、暮らしの情報もお任せ

セキララU&I

【U】岡田 みどり さん(妙高市杉野沢地区 在住)

 第8回は大阪府東大阪市からUターンし、現在 妙高市杉野沢地区で民宿経営(女将)をされている岡田 みどりさんです!


Uターン前〜Uターンのとき


大学卒業とともに
競技スキーから引退

——食堂のすぐ外がリフト乗り場とゲレンデ! 上越地域では小学校から授業でスキーがあったりしますけど、さすが妙高高原エリアは環境が段違いですね。
ここで育ってる者には当たり前の風景ですけど、まあ、特殊ですよねぇ(笑)。私は子供の頃からずっとスキー漬けという感じでした。大学にも、スポーツ推薦でスキーで進学させてもらって。

▲食堂から続く外階段を下り…(→)

▲すぐ左手にはもう、杉ノ原スキー場のリフト乗り場

——そうだったんですか。スキーは今も?
そうですね、競技スキーはもうやってないんですけど、今もたまに時間があれば滑ります。あと、こっちに戻ってきてすぐの頃は、観光のお客様向けのスキー教室で初心者クラスを教えたりもしてました。

——競技のほうは、このお宿を継ぐためにお止めに?
いえ……止めた直接の理由は、怪我です。それまでずっと「私にはスキーしかない」と思っていたくらいスキーが中心の人生だったんですけど、大学時代、怪我ばっかりしていて……全然滑れない時期もあったりして「スキーのために大学に入れてもらったのに、こんなことなら退学した方が良いんじゃないのかな」って思い詰めたこともあったくらい、怪我で悩んでたんです。それで、その先のことは何も決めてはなかったんですけど、だんだん「大学で競技スキーは終わりにしよう」って気持ちが固まって。先のことを決めずにその決意ができたのは、両親がそれぞれに仕事をしていてくれたおかげもあったと思います。

——それぞれというのは?
当時は父がガソリンスタンドを経営していて、母がこの民宿をやってたんです。民宿は祖母の代から始まってるんですけど。なので卒業して戻ってきて、ときどき民宿を手伝いながら、普段は父のガソリンスタンドで働いてました。スキーの方は、教室で少し教えたり、頼まれたら大会運営のスタッフに加わったりという感じでしたね。それは今でも、声が掛かればやってます。

Uターン後


「甘えるな」と叩き付けられた
忘れられない誕生日

——最初はお父様のほうのお仕事が中心だったんですね。いつ頃からこの民宿の仕事が主軸になったんですか? というか、まだ「若女将」でもおかしくないくらい、今もお若いですよね。お母様は……?
母は障害というか、病気の後遺症があって、ここの仕事からは手を引いてます。私の24歳の誕生日に、脳内出血で倒れたんです。もう、一生忘れられない誕生日ですね(笑)。運命というか、何かに「甘えるな」と叩き付けられたみたいな感じ。それまでここの仕事は母が全部取り仕切っていて、まだ私は本当にたまに、忙しいときにちょっと手伝うくらいで、何も解っていなかったんです。それが急に……その日も泊まりのお客様がいて、母の病院にも行かなきゃならないけどお客様も何とかしなきゃいけないって、本当に大変でした。いろいろありすぎて、何が起きていたのかちょっと記憶があやふやなくらい。

——24歳で急にそんな出来事に見舞われたら、パニックですよね。どうやって乗り越えたんですか?
ご近所の方たちが助けてくださったんです。もともと、繁忙期に来てもらっている従業員さんたちも皆さんご近所の方なんですけど、そのときはそれ以外のご近所さんも皆さん駆け付けてくださって、助けていただきました。

——ご近所パワーがあったから。
そうです、ご近所パワー。それが無ければ、どうなっていたか……。母は今はもう日常生活なら問題無く送れるくらいには良くなったんですけど、当時は介護とリハビリが必要で、全部で2年くらいだったかな……ずっと入院してたんです。客室や厨房の仕事も、経理のことだとかも、私は何ひとつ解っていなかったのを、私よりも詳しい従業員の方がひとつひとつ助けてくださったおかげで。今思い出しても、感謝しか無いです。

地域を元気に、笑顔に…
恩返しがしたい

——民宿のお仕事は、どのような内容、どのようなサイクルなんでしょうか。
お客様の朝食が6:45からなので、だいたい毎朝5:30くらいに起きて、家族と従業員のぶんも含めて朝食作りからですね。朝食が済んだら客室や浴室の掃除が正午くらいまで。午後は買い出しに出て、戻ったら夕食作り、片付けや他の仕事をして、全部終わるのがだいたい夜の10:00くらいです。

▲手前が本館、奥の白い建物2Fが食堂

——ほとんど休憩時間も無し! 民宿と仰ってますが、これだけ広い食堂もあって、本館も「旅館」と呼んでおかしくないくらい大きいですよね……。
そうですね(笑)。でも買い出しは毎日あるわけじゃないので、無ければその時間は昼休み。予約の無い日は休みですし、忙しい時期には手伝いの方に入っていただいてますから。年間でいうと、ちょうど今くらい、4月がいちばんゆっくりしてる時期ですね。そういうときは逆に、全部ひとりでやったりしてちょっと忙しいこともあります。夏前から秋にかけてはまた、山菜料理を楽しみにされてるお客様とか、苗名滝笹ヶ峰を訪れるお客様が増えてきて、ピークはやっぱり、冬です。

——お母様が倒れられて最初のうちは「何とかせねば」で頑張れても、まだ20代半ばでその状況に置かれたのは、きっとかなり……他人には想像のつかないような、大変なことがあったと思うんですが。「どうして私が!」みたいな気持ちになってしまったりとか、感情が追いつかないようなことだとか。
ありました、ありました。やっぱり他の同年代の人が羨ましく思えたこともありましたし、家族にも辛く当たっちゃったことも。兄は家の仕事とは全く別の仕事をしてますし、……実はもうひとり上に兄がいたんですけど、9年前に病気で亡くなっちゃったんです。父もガソリンスタンドを止めてからはこっちの仕事を一緒にやってくれるようになったんですけど、主には私がだったので……でもまだ私も若くて、覚悟も何も無かったから、発狂しかけて、家族に対しては爆発しちゃったこともありました。申し訳無かったなぁと思いますね……。

——その「覚悟」が据わったのは、いつごろだったんですか?
うーん……ごく最近、だと思います。父もだんだん歳を重ねてますし、ちょっと腰が痛いとかね……もうこれ以上は親を頼ってはいられないなと、最近ようやく考えるようになりました。それに、母が倒れてからあっという間に12年……12年半? が経って、振り返ってみれば本当にご近所の皆さんに助けていただいて、そのお陰でこれまでやって来られたという想いだけが残ってて。大学を出てすぐにここに戻ってきたのも、仕事とか生活のことはもちろんありましたけど、地元が好きという想いがあったからなんですよね。だから、地域の皆さんに恩返しをしていきたいんです。この辺りもやっぱり、だんだん人口が少なくなっているので……地域を元気に、笑顔にしていきたいと思ってます。

Uターンのすゝめ


笹ヶ峰グリーンハウスの
ジャンボステーキ!!(笑)

▲上越地域(特にご年配のお宅)ではお茶請けといえば漬け物! たくわん、野沢菜漬けは通年常備が当たり前。

——地元が好きというのは、どういうところですか?
……のんびりしてるところ? 近所のお婆ちゃんがお茶飲みにおいでって誘ってくれたりして、「どこそこの誰それさん、元気かねぇ」って世間話をしたり(笑)。畑の話とか……私は全然、畑は作ってないんですけど、ご近所の方がどんどん採れた野菜をくださるんですよ。畑を作ってるお宅以上に集まることもあるくらい(笑)。「お客さんの料理に、これ、使って!」って、キュウリとかが山積みになったり。すごく、助かってます。あと、ご覧の通り周りにも民宿や旅館が多いので、同じようなサイクルで働いてる方がけっこういるんですね。忙しい時期が過ぎると隣の宿の女将さんが声を掛けてくれて、ちょっとした飲み会を開いたり。宿屋なので、飲み会をするのにも良い場所がありますから(笑)。お茶飲み友達に、飲み友達もいて、恵まれてます。

——なるほど、新井や高田の歓楽街にまで出掛けなくても(笑)。
そうなんです。あと、これは地域の良いところというより、うちが民宿をやってるからという話になっちゃうんですけど……大学時代の仲間が全国各地にいて、競技スキー部の仲間なので、私が会いに行かなくても、けっこう皆うちに来てくれるんです。泊まれるし、すぐ裏がスキー場だし(笑)。そういうのはいつも、嬉しいなぁと思います。

——他にはいかがですか。逆に嫌なところも、もしあれば伺いたいと思ってるんですが。
嫌なところ? ……は、無いです。環境も景色も、食べ物もみんな良いですから。買い出しは板倉区のしみず屋さんとか、山を下ることも多いんですけど、バイパスをのぼって帰ってくるときに、こう……「ああ、妙高山は一番良い山だなぁ!」って嬉しくなるんですよねぇ。あと、ここより上のほう……笹ヶ峰は牧場もあるし、すごく大きな樹がモコモコモコッとあって、大自然に包まれてる感じ。ドライブに行くと最高です。あっ! 笹ヶ峰グリーンハウスってご存知ですか?

——はい。すみません、名前だけですが、存じてはいます。
あぁ〜行ってみてください!! グリーンハウスの「ジャンボステーキ」が、すごく美味しいんですよ〜!(笑) ちょっとお高いんですけど……なので、私は誰かについて行って一緒に食べるんですけど(笑)。400gくらいあるので、ふたりで1枚で丁度くらいかな。すごく美味しいんです! ご馳走です。

  • ▲秋の笹ヶ峰

  • ▲名物、ジャンボステーキ!!(写真提供:笹ヶ峰グリーンハウス)

  • ▲好物を語るこの笑顔! 幸せが伝染してくるようなほがらかな女将さん

雪は降っても
降らなくても大変

▲取材日、宿の周りに雪の名残はまったく無し。2015-16の冬は、例年では考えられないくらいの少雪だった。向こうに見える黒姫山も、かなり雪融けが進んでいる

——嫌なところは無いということですが、生活やお仕事のうえでのご苦労なんかはいかがですか?
……雪、ですね。今年はすごく少雪で、ゲレンデも3月で営業が終わっちゃいましたし、宿泊のお客さんも少なくて。降ってくれないと本当に困ります。でも、降れば降ったで大変。うちはこう、屋根が平らな造りなので、雪下ろしは必ずしなくちゃいけませんし、一般的な家屋と比べたらだいぶ大きいので、1日では終わりません。父も腰が痛くなっちゃってるし、私ひとりでできるわけもないので、業者さんにお願いして5〜6人で2日掛かりとか。労力も掛かるし、お金も掛かります。

——今年は例外として、“普通の冬”でどのくらい積もるんですか?
3mは当たり前に積もりますね。多い年だと……5mくらい行くのかな。この窓の外も、あのリフト【冒頭の写真参照】が全く見えなくなるくらいになります。

——5mともなると、一般家庭だと2階の屋根まで全部埋もれるくらいの深さですよね。積もった雪を下ろす場所自体が無くなってしまうくらい。同じ上越地域に住んでいても、たとえば直江津あたりの住人からすると「妙高の人たちはどうやって除雪をしてるの」と、ちょっと想像がつかないレベルだと思うんですが。
まあ、積もるだけ積もったら退かして下ろす、って、それだけですけどね(笑)。でも道路の除雪なんかは逆に、平地のまちなかよりずっと丁寧に行き届いていたり、そこは違うと思います。この辺りの戸建てのおうちだと、雪下ろしはご近所同士で助け合ったり、あと屋根融雪の設備を付けてるお宅なんかもありますよ。

——なるほど。ではそろそろ最後の質問ですが……これから移住を考えようという方に何かアドバイスと、そして今後の岡田さんの夢や目標など、あれば教えてください。
移住のアドバイス。……そうですね、お金は必要です。やっぱり、掛かるところには掛かりますから。これからの目標は……さっきも言いましたけど、この辺りの地域を盛り上げていかなきゃと思ってます。なので、妙高青年会議所に所属して皆さんから勉強させてもらったり、杉野沢の観光協会や商工会の委員をやらせてもらったり、あとは消防活動の女性部とか(笑)。宿の仕事がある日は全く外には出られませんけど、スキー関係のボランティアも、声が掛かればできる限りは出るようにしてます。周りも皆さん、いろいろ頑張ってらっしゃるので、私も学べることは学んで、できることは何でもやろうと思ってます。地域が元気になって、笑顔が増えるように、頑張りたいです。

——岡田さんの口調や雰囲気から、ふんわり優しい、ゆったりした方という第一印象を受けていたんですが……お話を伺ってみたらものすごく働き者でいらっしゃって、良い意味で、すごく驚かされました。同世代の方にもかなり刺激になると思います。今日はどうもありがとうございました。
いえ〜、私なんか全然(笑)。こちらこそ、わざわざありがとうございました。ご苦労様です。どうもありがとうございました。


2016年4月30日 掲載(2016年4月12日 取材)【な】


この記事のご感想、「U・I・Jターン経験者に訊いてみたいこと」などご質問をお寄せください。

 

| 会社概要 | サイトのご利用にあたって | 個人情報保護方針 | サイトマップ | 読者相談室 | お問合せ |
公益社団法人 全国求人情報協会
当社は、公益社団法人 全国求人情報協会の正会員です。
Copyright © TOHO Co.,Ltd. All rights reserved. 株式会社桐朋 〒943-0841 新潟県上越市南本町2丁目13番14号  TEL:025-526-0066
スマホ用の表示に切り替える PC用の表示に切り替える