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雪国に笑顔を咲かせる大工の技術
二代目・善宏さんから息子・和宏さんへ
妙高市関川にある「妙高高原まるやま工務店」(株式会社丸山工務店)は、終戦後の1949(昭和24)年、海軍飛行予科練習生だった初代が創業。今年で69年の工務店だ。公共施設などの建築・土木工事の他、住宅建築にも力を入れている。
二代目で代表取締役の善宏さんが長野工業高等専門学校を卒業して入社したのは、1974(昭和49)年。当時は大手ゼネコンの公共工事など下請けの仕事が中心で、見積もりや設計ができる人がいなかった。「元請けとして仕事がしたいと思いました」。現場の仕事にも励みながら、高専で学んだ知識を基に元請けができる体制を作っていった。
時は高度経済成長期。妙高高原地区では観光客が増えると共にホテルの建設もラッシュを迎え、ペンションブームなども相俟って、まるやま工務店が元請けの仕事も軌道に乗った。しかし、ホテル建設が一通り落ち着いたころ、時同じくしてバブルが崩壊。仕事量が激減し、廃業する同業者も出始める……それが、30年ほど前のこと。
このままではまずいと悩んでいたとき、視察に出向いた北海道で、たった1台のストーブで家じゅうが暖かくなる住宅に出会う。今でこそ馴染みある言葉だが、当時はまだ全く知られていなかった「高気密高断熱住宅」だ。「これは妙高高原の冬にも生かせる技術だ」と確信し、北海道から妙高へ技術移入を図る。そして試行錯誤を重ねた結果、新潟県建築士会の設計優秀賞を受賞するに至った。「とにかく、良質で暖かい家を建てたいんです」。64歳の今も、積雪があっても太陽光発電ができる施工や、最新の省エネ技術を活用した家づくりなど、そのチャレンジ精神は衰えを知らない。
建築業界ももれなく時流に圧され、後継者不足に悩む企業は少なくないという。「私も最初は、跡を継ぐ気はそれほどありませんでした」と、三代目の和宏さん。しかし「10年、20年で廃業してしまう会社も少なくないなか、70年近く続いている会社はそれだけでも凄い」と気付いた。今はさまざまな建築や技術に携わるにつれ、仕事が楽しくなってきている。近年は、工場で作られたパーツを組み立てるだけのような住宅も少なくないが「実は、木材ひとつを取っても奥が深い。現場の大工でなければできない仕事があるんです。特に、高気密高断熱住宅は高度な技術と経験が必要です。親父の優れた知識や技術を継承したい」と和宏さん。
住宅は決して安い買い物ではないからこそ、不満の残る家は作りたくない。とにかく、お客さんに満足してほしい。——その想いが実り、最近ではお客様からの紹介による受注も増えてきているそうだ。丸山さん父子の熱意と、確かな技術が、雪国に笑顔の花を咲かせていく。
2017年8月31日(た)

左:三代目・丸山和宏さん(常務取締役)
DATA
- 名 称
- 妙高高原まるやま工務店
- 所在地
- 〒949-2112新潟県妙高市関川662-8
- TEL
- 0255-86-2341
- FAX
- 0255-86-2421
- WEB
- https://www.maruyamakoumuten.info/