
12月は、酒蔵が一番忙しくなる季節。仕込みが始まる上に出荷もピークを迎えるためだ。大潟区にある酒蔵の九代目を受け継ぐ竹田さん。「米の味がわかる酒にしたい」と手間を惜しまない酒造りにこだわり続けている。
日本酒は「一麹、二もと、三造り」だといわれている。雑菌が少ない寒い時期に蒸し米に麹菌を植え付けていく。原料となるのは新潟産の「越淡麗」と「五百万石」という2つの酒米。蒸し上がってもべたべたせず麹菌がうまくつきやすいのだという。水は豊富に湧き出る井戸水を使い、自慢の日本酒「かたふね」は、ゆっくりと熟成されていく。
「早朝からの作業は辛かったですね」蔵を受け継いだ頃、朝6時からの作業で、蔵人は住み込みで作業する毎日だったと振り返る。職場環境は徐々に改善してきたが、大量生産しない昔ながらの技術や感覚はそのままに小さな蔵の良さは大切に守ってきた。
その努力のかいがあって、今年度も関東信越国税局酒類鑑評会の「吟醸の部」「純米の部」で金賞を受賞した。「一般消費者の反応がダイレクトに聞けない分、客観的に評価してもらいたい」というのが、品評会に毎年チャレンジする理由だ。挑戦し続け、受賞し続けることが良い酒造りを支えているのだと信じている。それでもまだ技術的にも向上していく余地があると、気持ちは上向きだ。さらに11月からは海外にも進出。「かたふね」の世界への挑戦が始まっている。
竹田さんの跡を継ぐ十代目が修業を始めて5年目になる。大学で学んできたことを活かし、また新たな戦力になることが期待される。「酒造りを10年経験してからだね」と目を細める竹田さん。酒蔵の心を引き継いでいくのもこれからの大事な仕事になるのかもしれない。(ゆ)
竹田成典(たけだ しげのり)さん
竹田酒造店 九代目 上越市大潟区在住
